2016年7月30日土曜日

【教員インタビュー】大学院理学研究科 井龍康文教授

―専門は何ですか

 炭酸塩堆積学と古生物学を専門にしています。石灰岩や化石などの過去を推測できる試料から、当時の環境を導き出すのが私の研究です。特に、沖縄のような200万年前以降の地層を中心として調査を行っています。なぜならば、古い時代の岩石は変質してしまっているものが多く、そうなると過去を推測する際の精度がよくないため、自分が本当に理解したいところまでわからないからです。




 現在は、腕足類という生物の殻が研究に使えないかと考え、産地などの条件によってどのくらいの精度で試料として使えるかを模索しています。研究調査のために様々なところに行けるのもこの分野の魅力の一つかもしれません。

―研究者を志したのはいつ頃ですか

 小学生の時です。鉄腕アトムに出てくるお茶の水博士のような博士に憧れを抱いていました。その頃は古生物に関する本をよく読んでいたので、この分野の研究をしてみたいと思うようになりました。

―研究の楽しいところ、または辛いところは何ですか

 楽しいところはわからなかったことが明らかになることです。辛いところは、新しい研究に入るときに、目の前に課題が山積みになっている感覚を覚えることですね。後は、体力的なつらさや経費をやりくりする大変さもあります。しかし、全体的には楽しく研究をしています。

―研究室の様子について教えてください

 研究室では、一つの大きな軸を中心として、学生たちが様々な方向に向かって研究を行います。例えば、私の研究室の場合、「炭酸塩でできた岩石や化石の研究」を軸としています。

 私は、研究において上下関係は必要ないと考えています。そのため、私が若いころは研究室の誰が教員なのかわからないほど、学生達と対等に研究を行っていました。

―今セメスターでは何の講義を担当していますか

 理学部1年生を対象とした地球システム科学を担当し、地学の基礎的な内容を教えています。冗談を交えつつ話しているのですが、学生に中々笑ってもらえないので少し寂しいです。

―学生時代はどのように過ごしていましたか

 高校時代は高校が大学進学に関してあまりうるさくなかったため、自由に様々なことができました。地学クラブに参加しつつ、よく遊び、よく学んだ3年間でした。

 東北大学に進学した後も、初めの2年間は地学ゼミナールに参加しつつ遊んで過ごしました。しかし、学部3年からは卒論が始まったこともあり、真面目に研究をし、学部卒業までの2年間で合計5か月ほどの期間を、岩手県で地質調査をして過ごしました。当時は現在のような効率的な研究方法が確立しておらず、地道に岩石の採集と分析を繰り返していたことを覚えています。

―大学の良いところを教えてください

 実力で評価してくれることが大学の良いところだと思います。実力というのは論文の内容のことです。論文を書くというのは、(私の父の職業である)大工が家を建てるのに例えられると思います。大変ではありますが書き上げたときの達成感はすばらしいものです。

―高校生に向けて一言お願いします

 私が言いたいのは、「よく遊び、よく学べ」ということです。高校時代は最も物事を吸収できる時期なので、時間を大切にしていろいろな経験をしてください。その経験は、その後の人生に活きます。行動し、学習することで、バランスの取れた人間になってください。

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